不安定さ

社会は漠とした不安定さに包まれている その中で人は漠とした不安を感じている 理由が見えてこない不安はぼんやりしていて はっきりしない不安はどこまでも漠然としている 不安定さを Precarity といい Précarité といっても 言葉で社会が安定するわけではない 音楽で不安が消えるわけもないし 芸術が何かを変えるわけでもない 生き物の命は不安定で 人の命も不安定で 命は意図的に消され 命は偶然に消える 命の永続性は保証されていないおらず 生き物の命が不安定なのも 人の命が不安定なのも それが命の特徴だといえばそれまでだ 生き物が不安定なのも それが生き物の宿命で 人が不安定なのも それが人の宿命なのだろう 特定の人が優位に立つのを見ていると 普通であることが失敗に見えてくる 予測することは不可能で 明日は誰にも見えない 雇用も収入も不安定で 未来が不安に包まれているとき 人は不安になり 社会は不安定になる 不安な人たちと関わらず 不安定な社会にも関わらず 石と木と水のなかで 君と静かに暮らす